高血圧と脳梗塞、脳出血、くも膜下出血#2
高血圧と、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の関係について書いています。高血圧の人は、これらの関係について興味があると思う。※前回の記事:「高血圧と脳梗塞、脳出血、くも膜下出血」
今回は、「脳出血」と高血圧の関係について書いてみたい。
目次
脳血管疾患全体の死亡総数
これは、前回の記事でも書いたが、おさらいをしておこう。
2014年における脳血管疾患全体の死亡総数は、全死因の4番目(約9.0%)。
※死因順位(1~4位) :1位 がん(36.8万人)、2位 心疾患(19.7万人)、3位 肺炎(11.97万人)、4位 脳血管疾患(11.42万人)。
※全死亡者数は、127.3万人
脳血管疾患の内訳は…
脳血管疾患(11.42万人)の内訳は、以下のとおりだ。
1位 脳梗塞(6.61万人)、2位 脳出血(3.255万人)、3位 くも膜下出血(1.266万人)。 割合で言うと、1位の「脳梗塞」が57.9%で過半数を占める。
2位の「脳出血」が28.5%、3位の「くも膜下出血」が11.1%になる。脳出血は、脳梗塞に次いで多い数になる。※ただし、(脳出血は)脳梗塞の半分程度になるようだ。
脳出血と高血圧の関係
脳出血と高血圧の関係だが、脳梗塞の場合とはやや事情が異なる。
脳梗塞の場合は、ただちに「高血圧が原因だ」とは言えないが、脳出血の場合は、比較的ハッキリ高血圧が主な原因だと言える。大雑把に言うと、(あくまでもわたしの印象になるが)脳梗塞の場合は、高血圧は間接的な原因で、脳出血の場合は、高血圧は直接的な原因だと言えるだろう。
高血圧が直接の原因である、とは言い切れない(高血圧とは全く関係のない脳梗塞もある)。だが、脳出血の場合は、はっきり高血圧が直接の原因なのだ
出典:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の違い#2
脳出血の場合、「なぜ、高血圧が直接的な原因になるのか?」と言うと、高血圧により、血管にかかる圧力が高くなると、血管が破れる可能性も高くなるためだ。※単純な力学の話になる。
治療中に発症している人が多い理由
以前の記事でも書いたが、脳出血の患者の内、70%が高血圧の患者であった、という報告がある。※内、46%が高血圧の治療中に発症している。残りの24%は治療なし。
高血圧で脳出血を発症した人(70%)の内、46%が治療中に発症し、残りの24%が治療していなかった、というところに注目したい。なぜ、高血圧を治療していた人の方が、多く脳出血を発症したのだろうか?
ここからは想像だが…
高血圧で脳出血を発症した人を、A)高血圧の治療を受けているグループ、B)高血圧の治療を受けていないグループ、に分けると、Aグループの人たちの方が総じて血圧が高く、より深刻な状態だったのではないだろうか。
高血圧の状態が深刻だから治療を受けていた、軽度の高血圧だから治療を受けていなかった、ということではないか(だから、治療していた人の罹患率が高い?)。
高血圧がリスク要因になる?
Aグループの人たちは、高血圧の治療をしていた、ということだから、降圧剤を服用していたと考えられる。だが、降圧剤を使用しても、十分効いていなかったり、サボりや飲み忘れの可能性がある。
また、Aグループの人たちの方が、(高血圧の治療開始前までに、血圧の高い状態を長年維持したため)血管のダメージをより蓄積していた…ということも考えられる。
そう考えると、このデータにも辻褄が合うのだ。この想像が正しければ、やはり高血圧は、脳出血の大きなリスク要因になる、ということだ。※そう外していないような気がするがどうか…。
高血圧の関与を7割とする
上述のとおり、高血圧が脳出血に関与する割合を7割としてみよう。
そうすると、高血圧の人が(死亡する場合に)脳出血に罹患して亡くなる確率は、9%*28.5%*70%=1.80%になる。他方、高血圧ではない人が(死亡する場合に)脳梗塞に罹患して亡くなる確率は、9%*28.5%*30%=0.78%になる。
つまり、高血圧の人は、そうでない人よりも、「2.3倍」脳出血に罹患し死亡する確率が高い、ということになる。※何倍という似たような数字は、医師から聞いたような気がする。
まとめ
このデータをまとめると、以下のとおりだ。
[ ケース:脳出血に高血圧が関与する割合70% ]
高血圧の人が(死亡する場合に)脳出血に罹患して亡くなる確率:1.80%
高血圧ではない人が(死亡する場合に)脳出血に罹患して亡くなる確率:0.78%
※ 2.3倍
前回の脳梗塞の例と比較してみよう。
[ ケース:脳梗塞に高血圧が関与する割合60% ]
高血圧の人が(死亡する場合に)脳梗塞に罹患して亡くなる確率:3.13%
高血圧ではない人が(死亡する場合に)脳梗塞に罹患して亡くなる確率:2.08%
※1.5倍
さて、あなたはこの値をどのように評価するだろうか?
次回の記事:「高血圧と脳梗塞、脳出血、くも膜下出血#3」